「心身相関」という言葉があるように、心と体は密接につながっています。簡単に言うとすれば「病は気から」で、日本人には昔からある感覚です。
サイモント療法を開発した米国の医師の病気治療のプログラムは、医師や医療のみに依存せず、人間の体に備わった自然治癒力を高めることを目的としています。そのために必要なことの一つは、喜びや生きがいに目を向けることです。楽しかったことや熱中してきたことを思い出してみると深い充足感が得られ、自分自身のエネルギーを効果的に高められます。感情は細胞レベルで体に影響を及ぼすことが分かっていて、患者は感情を安定させることも大事です。その感情は出来事から直接生まれるのではなく、出来事を捉える行為を経て生まれます。同じ出来事を体験しても、どう捉えるかによって感情は大きく変わるのです。
特に、がん患者は「がん」という病気から「自分は死ぬに違いない」と捉え、「絶望感」を抱きます。このため、プログラムでは患者が抱く不健全な信念を、「健康を取り戻すことは可能だ」という健全な信念に置き換えていきます。そして、置き換えた信念を毎日3回声に出して読みあげるのです。こうすることで不安を解消し、心の状態をよくすることができます。さらに、病気の治療においては「得たい結果を得られる」という希望と、何かを信頼することで得られる安心感が必要です。信念を持って薬や自己治癒力を信じ、それらが適切に効いているイメージを持つことが大切です。